ティト2016年11月27日1 分瞳を閉じて瞳を閉じて 胸に降る 小糠雨の音を聞け その雨が光るのを聞け 雨は雪に変わり 白い音の影を踏みながら 歩く 枝に積もる細い雪を そっと指でなぞるとき 溶けていく雪に 胸が躍る 足は 柔らかく 消えゆくものを追いかける 空気は 甘く透き通る 雪菓子の味 フクロウが目を覚まし...
ティト2016年11月27日1 分雪 ゆらゆら揺れる 灰色の影 ゆらゆら揺れる いたずら小僧 ゆらゆら揺れる 赤いマントー ゆらゆら揺れる ハクチョウの群れ ゆらゆら揺れる 紐付きのミトン ゆらゆら揺れる 姿を消した道 ゆらゆら揺れる 音のない音楽 ゆらゆら揺れる 熱いミルクの湯気 ゆらゆら揺れる 空を埋める...
ティト2016年11月9日1 分「魂の戸棚」魂の戸棚に 重い風が 騒ぐ 黄昏時 星は黙る 不意に ヒナギクは 首を垂れた 天使の気配が 空を埋めた 灰色の西風吹き降り 古い星の地図を 吹き飛ばした ヒナギクと戸棚は ほうき星に運ばれ 別の星 シンと静まる野原の上で そっと 戸棚を開いてみれば 小川のように 新しい歌が...
ティト2016年11月9日1 分わたしの上には何もないわたしの上には 何もない わたしの下にも 何もない 星が わたしを見るとき きっとわたしは空の上 銀色の太陽が 見上げて言う あの蒼い星には わたしのために 歌うものがいる だからいつもわたしは あの星を見上げて泣く わたしの涙が 愛しいあの星に届くよう 風よ、吹いておくれ...