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ティト

森へ行きましょう


一掴みの空の中に

森をつくる

夜のような森を

そうすれば

あなたに

見せてあげられるかもしれない

目の見えないあなたに

夜に満ちた森を

見せてあげられるかもしれない

星に埋め尽くされた光る闇

蛍舞う甘い泉は月の味

それを汲み上げ

あなたの手に握らせてあげる

その手に百の千の万(よろず)の

若葉落ち葉を集めれば

あなたの無垢の瞳は緑に光る

手をつないで行きましょう

夜のような森に

一掴みの空の中に

森をつくる

雨のような森を

そうすれば

あなたに

聞かせてあげられるかもしれない

耳の聞こえないあなたに

雨に満ちた森を

聞かせてあげられるかもしれない

鳴り止まない雨の叫び声

声を潜める鳥の身繕い

それを集めて

あなたの手に握らせてあげる

その手に百(もも)の千の万(よろず)の

葉脈の音を集めれば

あなたの無垢の耳に雨が溢れる

手をつないで行きましょう

雨のような森に

いつか

目の見えないあなたが

その森を訪れるとき

いつか

耳の聞こえないあなたが

その森を訪れる時

百足が縫う緑の着物に

ちりばめられた太陽の影を踏むとき

君の名を呼ぶ

夜の声を

君の名を呼ぶ

雨の声を

聞く

答えるなら

隠れていた星がひとつ

光だす

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