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ティト


明るさを増した灰色の空から

冷たい雨が降る

「わたしはわたし」

楽しさなんて

どこ吹く風

冷たい雨は

運んでいく

人の涙を運んでいく

流した涙を

流さなかった涙を

拾い集めて

ひとつぶずつ

雪に変える

重いものを軽やかに

ぽつり

ふわり

ふわり

ぽつり

ぽつり

ふわり

一粒づつ

音もなく

地面に抱かれて

溶けてなくなる

きっとそこから

草が芽吹く

しなやかなみどりの

娘たち


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