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  • ティト

重い雨が降る


重い雨が降る

ザア ザア と

澄んだ雨が降る

ざんざんと

音が集まって

トントントン

ぽつぽつポン

雨の音を

言い表す言葉はない

耳を澄ましてみても

ざあざあと

言ってはみても

それは

本当に

耳が聞いた

音では

ないかもしれない

いつか誰かが言った

記憶の言葉

かもしれない

コンコンぽつぽつザパザパ

それを一度に混ぜた音

今耳にはそうきこえる

重なり合う音の

響きに包まれ

嬉しさが

溢れる

無尽蔵に届けられるものの

嬉しさが

溢れてくる

コンコンぽつぽつザパザパ

その嬉しさを

言葉にしようと

次々書かれる雨の文字

透明な丸い雨の文字

コンクリートの上に

出来ては消え

出来ては消え

いつまでも

透明な

雨の文字は

言葉を探して

探して

書き終わらない

ざんざんと

ぽつぽつと

さーさーと

コンコンと

耳にはたくさんの

雨の音

今耳が聞いている音に

いつか聞いた記憶の音が

重なる

ざんざんと

ポツポツと

さーさーと

ココンコンと

ザーザーと

さらさらと


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